秋の弘前を歩いていると、りんご畑の木々に、赤や黄色、黄緑色の実がたわわに実っている風景に出会います。
太陽の光を浴びて色づいた赤いりんご。
明るい黄色が美しいりんご。
そして、黄緑色の皮に独特の香りをまとったりんご。
同じりんごなのに、どうしてこんなに色が違うのでしょうか。
今回は、青森県弘前市のりんごを思い浮かべながら、りんごの色の不思議と、その色を育む自然の働き、そして農家さんの手仕事についてご紹介します。
りんごはどうして赤くなるの?
赤いりんごの皮には「アントシアニン」という色素が関わっています。
アントシアニンは、ブルーベリーやブドウなどにも含まれる色素です。りんごでは、品種や生育環境によって違いはありますが、実が育つ過程で光や気温などの条件が整うと、皮に赤い色が現れてきます。
つまり、りんごが赤くなるのは、ただ実が大きくなったからというわけではありません。
品種が持つ性質に、光や気温などの条件が重なり、果皮の中でアントシアニンがつくられることで、あの美しい赤色が生まれるのです。
秋が深まり、りんご畑の実が少しずつ色づいていく様子は、津軽の季節を感じさせてくれる風景のひとつですね。
黄色いりんごもあるのはなぜ?
りんごと言えば赤い色を思い浮かべる方も多いかもしれませんが、黄色や黄緑色のりんごもあります。
青森県でも親しまれている「王林」や「シナノゴールド」は、その代表的な品種です。
王林は黄緑色の果皮と、甘く芳醇な香りが特徴。シナノゴールドは、明るい黄色の果皮で、甘みと酸味のバランスが楽しめます。
では、黄色いりんごは、赤いりんごがまだ熟していない状態なのでしょうか?
実はそうではありません。
りんごの果皮の色は、品種が持つ性質によっても異なる色素の組み合わせや、成熟にともなう色素の変化によって決まります。
赤いりんごでは、主にアントシアニンが赤色に関わります。一方、黄色や黄緑色のりんごでは、成熟にともなって果皮の葉緑素が減少し、もともと含まれている黄色系の色素が見えやすくなります。カロテノイドなどの色素も、黄色みの一部に関係します。
そのため、黄色や黄緑色のりんごは、赤くならなくても、品種本来の特徴として成熟します。黄色いから未熟、赤くないからおいしくない、というわけではありません。
赤いりんごには、赤いりんごの、黄色いりんごには黄色いりんごの個性があります。
色の違いを知ると、いつものりんご選びも、少し楽しくなりそうですね。
りんごを美しく色づかせる、農家さんの手仕事
りんごの色づきには、品種や天候だけでなく、農家さんの細やかな仕事も関わっています。
そのひとつが「葉摘み」です。
りんごの木の葉は、光合成によって糖などの養分をつくり、果実の成長を支える大切な器官です。一方で、葉が果実を覆っていると、その部分に光が届きにくくなります。
そこで、赤いりんごでは、果実の周りを覆う葉を一部摘み取り、日光が当たりやすくすることがあります。
これが葉摘みです。果実に光が届くことで、赤い色に関わるアントシアニンの生成を助け、色づきをそろえる効果が期待できます。
ただし、葉は光合成をおこなうために欠かせません。摘みすぎると、果実の成長や糖の蓄積に影響する可能性があります、そのため、時期や量を見極めながら、必要な葉だけを丁寧に摘み取ります。
もう一つは「玉回し」です。
りんごは、日光が当たりやすい部分と、葉や枝の陰になる部分で、色づきに差が出ることがあります。
そこで、果実を傷つけないように注意しながら、実を少し回して向きを変えます。これにより、これまで光が当たりにくかった面にも日光が届きやすくなり、赤いりんごでは色づきをそろえる助けになります。
ただし、玉回しをしたからといって、必ず同じように色づくわけではありません。品種の性質や日照、気温など、さまざまな条件が関係します。
また、葉摘みや玉回しは、主に赤いりんごの外観を整えるために行われる作業です。黄色や黄緑色のりんごでは、赤色をつけることよりも、品種本来の成熟や果実の状態に合わせた管理が重視されます。
私達が店頭で目にする美しいりんごの背景には、自然の力と、農家さんの経験や工夫があるのです。
赤いりんごも、黄色いりんごも。それぞれの個性を楽しむ
りんごの色について知ると、もうひとつ気づくことがあります。
それは、見た目の色だけでは、りんごのすべてはわからないということです。
赤いりんごにもさまざまな品種があり、甘みや酸味、香り、食感が異なります。黄色いりんごも同じです。
ぱりっとした歯ごたえを楽しめるもの、甘みの中に爽やかな酸味を感じるもの、香りが豊かなもの。
それぞれに違った魅力があります。
りんごを選ぶときは、色だけでなく、品種の特徴にも目を向けてみてください。いままで知らなかったお気にいりのりんごに出会えるかもしれません。
津軽の秋をりんごから感じてみませんか。
りんごが実るまでには、冬の剪定、春の受粉、夏の実すぐり、そして秋の収穫に向けた様々な手入れがあります。
季節ごとに木の様子を見ながら、自然と向き合い、ひとつひとつの実を育てていく。
りんごの色も、味も、香りも、自然の恵みとひとの手が重なって生まれるものなのですね。
青森県弘前市の秋はりんごが身近に感じられる季節です。
赤いりんごを見つけたら、その鮮やかな色を。黄色いりんごをみつけたら、その明るい色合いを。
いつもなにげなく手にしているりんごも、少しだけ立ち止まって眺めてみると、新しい発見があるかもしれません。
民泊ゆるりで過ごす時間が、津軽の自然や季節の移ろいを感じるひとときになればうれしく思います。
りんごのある風景とともに、弘前の秋をゆっくりと楽しんでみませんか。